雑誌名・・・上州文化' 06-5-No-O-106
財団法人 群馬県教育文化事業団
私がフラメンコ舞踊を始めてから改めて思いおこしてみるとすでに31年という年月がたっています。自分でも驚くほどの年月をひたすら続けてきたのだとこの原稿を依頼されて感じております。今まで夢中で前に向かって歩んできたのでじっくりと過去を振りかえって見ることがこのごろありませんでした。今日では、フラメンコといえばとてもメジャーになり日本全国といっていいぐらいフラメンコ舞踊のお教室がたくさんあります。31年前といえばまだまだ人々に知られることなくわずかな人たちが親しんでいるといった情況でした。当時群馬県で初めてのスペイン舞踊教室というのができ生徒募集をしておりました。私も興味を持ち趣味のひとつの習い事として始めました。その時はこのことが自分の人生になるとは夢にも思っていませんでした。人生はほんとうにどんな方向に変化していくのかわからないものだと今実感しております。人生というのは、その時々にめぐり会ったものや、めぐり会った人達によって大きく変化していくものだとこの年にって言えるようになりました。
群馬でスペイン舞踊を習い東京でフラメンコ舞踊を習いその後フラメンコをもっと知りたく現地スペインへ2年間留学をしました。帰国と同時にスペイン人アーティストを5名招き帰国記念リサイタルを行いました。そしてこのすばらしいフラメンコを群馬で少しずつでも広めていくことから私にもできるのではないかと小さなお教室を持ち4人の生徒からスタートしました。
1992年の春のことでした。お教室も始めてすでに14年目になりました。ほんとうに時の過ぎるのは早いものです。お教室を始めた時自分はいったいこの先やっていけるのかと毎日が不安でしたがたくさんの夢や希望もありました。そのことを少しづつ叶えてくれたのがまわりにいる良き知り合い達と生徒さん達と私の思い続けた心でした。たくさんのことがあり思いつづったら今回の原稿では書ききれないほどです。もちろん嬉しかった事苦しかった事、楽しかった事、悲しかった事といろいろな思いをしてきました。たくさんのコンサート活動、その中には、ボランティアで老人ホームや、病院、行政のお仕事、各地のお祭り参加、企業のイベント参加、発表会、リサイタル、ミニコンサート、ディナーショー、その他とほんとうに忘れてしまいそうなほどいろいろなことをやり続けてきました。今原稿を書きながら思うことは、人生は目標があること、夢中でやれるものがあることというのは大変でもほんとうは人にとってとても心が幸せであることなのではないかと思います。私も教室を持っていますので先生と呼ばれて14年今でも心の奥深く少しいいのかなという気持ちがあります。なぜなら自分自身の中でまだまだ人間として、人として学ばなければならないことがたくさんありますから、自分の中では良く考えて選択したものが時々ミステイク(選択ミス)ということもあり苦しむこともあります。でもすべてが学習と思い気持ちを切り替えるようにしています。お教室でも多くの生徒さん達と出会いがありまたお別れがあります。これもまた多くの生徒さんたちから人間勉強をさせていただいていると思っています。人間関係はむずかしいですから。とにもかくにも異国(スペイン)の文化フラメンコというものを、もっともっと理解しそれを後進の人達に伝えていくことがだいじなことだと思っています。そしてそのことが小さな私に少しずつやっていける自信をつけてくれるものだと思っています。 最後に人生は長いようで短いと思います。世の中がめまぐるしく変化している今日は、すごいスピードで時が流れて行ってしまっています。ですから時間を大切に生きていきたいと思います。